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1995年4月7日、アメリカで「グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!」(原題:A Goofy Movie)が公開されました。
「グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!」は名前の通り本当に最高の映画なのですが、日本ではなかなか知名度が低く、ディズニー映画は好きでも、まだ観たことがないという方もいらっしゃると思います。
映画はグーフィーとマックスの親子の絆をテーマにしたもので、誰でも共感してしまうような等身大のストーリーです。
未見の方にも、すでに観たことがある方にも、この映画の見どころを以下の3点に絞ってお伝えしたいと思います。
あらすじ
明日から夏休みというある日、マックスは好意を寄せる女の子ロクサーヌの気を引こうと終業式をジャックしてロックのスーパースター「パワーライン」のダンスを披露し一躍人気者になります。
なんとかロクサーヌとデートの約束を取り付けますが、そんないきさつを知らないグーフィーは強引にマックスをアメリカ横断旅行に連れ出します。
デートに行けなくなったことをロクサーヌへ告げようとしますが、とっさに「パワーラインのコンサートに出るんだ」とウソをついてしまい……
マックスを思うがために空回りしてしまうグーフィーと、そんな父親に反発するマックス。
二人の旅は一体どうなるのでしょうか。
グーフィーとマックス、それぞれの魅力
等身大のキャラクター「マックス」
この映画で描かれるマックスは、ヒーローのような活躍を見せるわけではなく、何か特別な能力が備わっているわけでもありません。
ただ一つ、グーフィーが父親であるという点以外は、思春期を迎えたどこにでもいる普通の男の子です。
他のディズニー映画のようなファンタジーの世界ではなく、リアリティのある世界に生きています。
ロクサーヌをデートに誘うことに成功したシーンでは心が躍り、グーフィーにダサい遊園地へ無理やり連れていかれ大恥をかかされるシーンでは一緒になって怒る。
自分の経験と照らし合わせて感情移入し、喜怒哀楽を共有し、つい応援したくなってしまいます。
ディズニーキャラクターでは珍しい、そんな等身大な姿こそ、マックスの大きな魅力です。
父親としてのグーフィー
いつもは何でもありのアニメの世界に生きているグーフィーですが、この作品では一味違って、「父親」としての姿が描かれています。
マックスが非行に走って電気椅子送りになるのでは? と本気で思いこみ、二人で乗り越えよう! と旅に連れ出すグーフィー。
思考が飛躍しすぎているのはグーフィーらしいところですが、大切な息子を想い奮闘する、父親としての健気な姿は胸を打たれます。
特に印象的なのは、とある理由で車に閉じ込められた時に、お腹を空かせたマックスにスープをあげるシーン。
ちょっぴり危険を冒しながらマックスのためにスープを用意する、親としての何気ない優しさ。
そして、スープにまつわる親子のエピソードから、二人の不器用な愛情を感じることができます。
また、いつもは穏やかな性格のグーフィーが珍しく本気で怒る貴重なシーンを観ることもできます。
あのグーフィーが一体どうして怒るのか?!
父親としての意外な一面を、ぜひ映画を観て確かめてみてください。
きっとグーフィーに対するイメージがガラッと変わるはずです。
ストーリーのキーワード「地図」と「魚釣りの極意」が示すもの
グーフィーの夢を託した地図
親子の旅は一つの「地図」をもとに始まります。
グーフィーがマックスを旅に誘うとき、その地図を取り出して言います。
「父さんも子供の時父さんと一緒に行ったんだ。ディスティニーレイク!」
「その時使った地図なんだ。二人でこれとぴったり同じコースでディスティニーレイクまで行こうと思って。」
この地図は父親から受け継がれたもので、グーフィーにとっての正しい道。
地図の通りに進めば必ず幸せな結末が待っていると信じています。
「父さんはがんばるぞ! 二人で乗り越えなきゃダメだ。何も心配いらないから父さんに任せてよ。」
でも果たしてそれは本当でしょうか?
グーフィーにとって正しかった道が、マックスにとってもそうだとは限りません。
地図の通りに旅を強制することで、親の価値観を押し付けているだけとも言えます。
強引に旅を進めるグーフィーに、どんどんイライラが募るマックス。
親の敷いたレールに対して不満を持つマックスがどういった行動をとるのか、クライマックスのシーンでグーフィーに訴えかける言葉とは?
そしてマックスの本当の気持ちを知った時、グーフィーは大事な地図をどう扱うことに決めたのか。
この「地図」の扱われ方と、その行方に映画の大切なメッセージが詰まっていますので、ぜひ注目してみてください。
受け継がれる「魚釣りの極意」
「内緒のプレゼントがあるんだ。おじいちゃんのそのまたおじいちゃんも使ってたやつ。今日から君のだよ。」
グーフィーは埃をかぶった箱を開け、年季の入った釣り竿を渡して言います。
魚釣りなんて絶対に嫌だ!!
現代っ子のマックスは猛反発。
それ対してグーフィーは「おじいちゃんのそのまたおじいちゃんの代からずっと伝わっているとっておきの魚釣りの極意」だという謎のフィッシングフォームで釣り竿を操ります。
一見なんの意味も持たないように思える「魚釣りの極意」ですが、後のストーリーの重要なシーンで意外な活躍をみせることに。
マックスは「魚釣りの極意」を実践することでいくつかのトラブルを解決してゆくのです。
その姿を見ると、親の教えとはその時は無意味に感じていても、いつか思わぬところで活きてくるものなのだなと感じます。
また、そういった重要な教えは、知らず知らずのうちに親から子へ受け継がれていくものなのでしょう。
親が思う理想の人生を描いた「地図」と、子供に伝えるべき大切な教えである「魚釣りの極意」。
この2つを通して、親子のかかわり方が次第に変化してゆくのが分かります。
反抗的なマックスと、溺愛するあまり空回りしがちなグーフィーの親子の関係性の移り変わりが見どころです。
20年たっても色あせない音楽
本作は魅力的な音楽とともにストーリーが展開してゆきます。
マックスがロクサーヌへの決意を爽やかに歌う「明日から夏休み(原題:After Today)」、
ディズニーらしいミュージカルナンバーの「涙のドライブ(原題:On The Open Road)」、
親子が絆を確かめ合う「やっぱり親子(原題:Nobody Else But You)」など印象的な曲ばかり。
中でもマックスを初めとした若者に絶大な人気を誇るパワーラインの「I2I(アイ・トゥ・アイ)」は20年たった今でも色あせない名曲です。
お互いの目をみて、心をみて理解し合おうというメッセージがこの映画にぴったりはまっています。
2015年にアメリカで開催されたD23EXPOのグーフィー・ムービーのイベントでは
パワーラインのモデルとなったテヴィン・キャンベルがこの「I2I」を生歌で披露し、ファンを熱狂させました。
※パワーラインの登場は1:00:10ごろ
上記の動画を見てもわかるように、いまだ根強いファンが多い本作。
親子の絆という普遍的なメッセージを持つからこそ、長きにわたって愛されている作品なのだと思います。
絶対に見て損はしませんので、まだ見たことがない方は、これを機に少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。